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by ruhiginoue

「ゴジラ」84が放送された

 『ゴジラ』の84年版が放送されたそうだが、観なかった。
 昔、映画館で観たから、もういい。
 あの当時、今年の正月映画は『ゴジラ』『グレムリン』『ゴーストバスターズ』の「3G」と言われていた。
 『ゴジラ』は、久しぶりにシリアス路線で行こうとしたが、監督の本多猪四郎と音楽の伊福部昭に、他の仕事が入っているからと断られ、いつも博士役の平田昭彦は末期癌で出演できず、直後に死去。そして東宝期待の新人として売出し中の沢口靖子が酷い演技。いちおう面白かったけど、難が多かった。
 
 一作目から何度も演出してきた本多猪四郎が断ったのは、無二の親友・黒澤明の時代劇大作『乱』に演出補佐として関与していて忙しかったからだ。そして公開された『ゴジラ』を観た映画ファンは、逃げる群衆や自衛隊の描写に迫力不足を感じ、続けて公開された『乱』を観たら、合戦場面で迫力の描写に、『ゴジラ』が本多監督だったらと残念がった。

 その後、黒澤作品『夢』の原発事故場面は、本多猪四郎の協力により逃げる群衆が怪獣でも出たようだと海外でも言われた。黒澤明は宮崎駿と対談したさい、原発を批判していることについて「日本は地震があるでしょう」と言っていた。
 その著書『蝦蟇の油ー自伝のようなもの』(岩波書店)によると、黒澤は子供の頃に関東大震災を体験、瓦礫と死体累々を目撃した。また、朝鮮人が井戸に毒入れて、その記号が付いているというのを見たら自分の落書きだったので笑ってしまったそうだ。ところが、そんな馬鹿げたデマを不安から本気で信じる大人の姿に、パニックとはこういうものだと実感したそうだ。
 そういえば、最近流行っている「嫌韓」も、最初は一部の人たちだけのことだったのに、311以降から全体的なものになった。

 ところで『ゴジラ』84は、出来はともかくヒットしたので、東宝では社員に大入り袋が配られたそうだ。また先に小松左京が大金を投じて大失敗したSF映画『さよならジュピター』の何億円という大赤字を埋めた。『ジュピター』の木星消滅はまだ珍しいCGで、単純な映像だが、それでも当時の技術としては大変だった。その前はアニメでやっただけだ。あの時代劇風SF『銀河旋風ブライガー』で木星分裂が描かれていた。
 そして『ゴジラ』84年のアメリカ版は、一作目と同じ記者役でレイモンド・バーが出演して実況場面を撮り足し、ゴジラを核兵器で退治せよと米ソ特使に言われた日本総理が非核三原則を遵守すると言って断る場面がカット、誤作動で発射されてしまう衛星核ミサイルは日本に侵入したソ連の工作員によって故意に発射されると改変。これがアメリカ式というわけだ、やれやれ。


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by ruhiginoue | 2014-07-18 16:45 | 映画