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by ruhiginoue

自ら直面した読売新聞の虚報と被害

 朝日新聞社の謝罪会見でハシャぐ読売新聞らは、ネットスラングでいう「ブーメラン」だという指摘がある。特に原発の問題がそうだし、従軍慰安婦の件も、その他についてもだ。
 また、読売新聞の場合はプロ野球がらみの件も加わるが、記憶に新しいのは「iPS細胞と森口尚史の虚偽」についての報道で、読売新聞は自ら失敗したと認めている。

 この『読売』は、2000年5月20日夕刊で「防衛医大講師が研究」した画期的な治療は「劇的効果」があるという社会面の大きな記事でも問題を起こしている。
 この記事を読むと、画期的な治療が開発され、その研究をした大学の付属病院を中心に実施され、次第に他の医療機関にも広がるかと読み取れる。
 しかし、大学病院で実施されず、その伊藤嘉恭・防衛医大講師が、防衛医大に勤務する片手間で個人開業した診療所で、無保険自費の高額で行われていた。
 この治療について防衛医大に電話で問い合わせると、その診療所の電話番号を教えられる。正式な紹介でなく、そのように知らせるのは公的機関が個人的な商売の宣伝をするようなものなので、問題である。
 そして、その診療所に行くと、待合室には『読売』の当記事が掲げられていた。

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 この治療を受けるため、地方から新幹線に乗ってやってきた患者もいた。治療を受けるには高額な報酬が必要で、効果は短く、繰り返すたびに何万円も支払わなければならない。
 これは国立の大学で公費を使い研究した「成果」であったはずだ。なのに金がかかりすぎると、患者たちは言った。そして、報道されたほど大した研究ではないと、専門医たちは指摘していた。しかし読売新聞で大きく取り上げられたから信用したのに、と患者らに言われていた。

 この問題について、後に『読売』の「医療情報部」の記者に会って訊ねた。防衛医大で治療が行われず、講師が個人開業し、あくまで研究なのにそれをネタに商売したうえ、『読売』の記事を利用している事実を知ると驚いていた。
 その意味では『読売』も、防衛医大と講師から被害に遭ったと言えなくもないが、悩む患者に過大な期待を抱かせないように、センセーショナルな報道にならないように、注意するべきだった。

 しかも、この当時、伊藤講師は自ら行った人体実験のような手術で医療裁判の最中だった。(詳しくは『防衛医大の場合は ドキュメント医療裁判』を)
 後に伊藤講師の言い分は破綻して完全な敗訴のうえ、学会でも除名せよという意見が出たほどだった。けれど、当時は「新聞に大きく取り上げられるような研究をする偉い医師が間違いをするはずが無い」と、伊藤医師の訴訟代理人弁護士が、記事を利用して言っていたのだ。

 また、ネットで話題になると、これを潰して回った。削除するよう裁判所から命令する仮処分を申請し、このさい高額な担保金を積むことで反論されずに一方的な言い分だけで済む制度を利用していた。普通はなかなかできないことだが、患者から高額な報酬をとっていたため可能だった。この制度を知らない人は多いから、問題の医師とその弁護士は、大金を積んだことを隠して、裁判所が言い分を認めたかのように、自らのホームページ上に記載したうえ、ウエッブサイトの管理者に通知し、削除させるよう仕向けていた。

 そもそも「大学で研究し付属病院で実施した」と自画自賛している医師の言うことは、東大(ハーバード?)の森口センセイだろうと防衛医大の伊藤センセイだろうと、眉に唾して聴かないといけない。これこそセカンドオピニオンを求めるべきことだ。取材も医師の診察と同じで、専門家と称する人がそれらしいことを語っても、他の専門家と称する人たちに同じ質問をして一致する部分が有るか、有ったならどの程度か、別の見解は無いか、という確認が必要だ、それを怠ったわけだ。

 この記事の当時、どう思うかという質問が当方へも寄せられたので、記事について読売新聞社に電話をかけて問い合わせたが、いつも「記事を書いた記者は出かけている」とか「会議中なので」と、取り次を拒絶されてばかりだった。
 こういうことをしてきた読売新聞が、まちがいがあれば訂正したうえ責任をとって社長が辞任し重役も処分された朝日新聞を非難しているのだから、腹立たしく滑稽である。


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by ruhiginoue | 2014-09-15 14:20 | 社会