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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

『火垂るの墓』と『じゃりン子チエ』

 終戦記念日に合わせて『火垂るの墓』が、また放送された。そのたびに話題になるのは戦争のことを皆が考えるからだが、かつて東北の親戚は観てびっくりしていた。

 なぜなら、『火垂るの墓』では、主人公の少年が母親の着物を持って物々交換を頼みに行ったら、こんな安物では駄目だと農家のおばさんに罵倒され追い返されたり、飢えて畑の作物を僅かにくすねたのを農家のおじさんに見つかり容赦なく執拗に殴られたりするからだ。

 これとは違い、東北の農家では、戦争の混乱により都会から食料を求めて来た人がいると、できるだけ食料を分けてあげようとし、検問で没収されないように隠し持つあの手この手を指南までしたと言う。
 また、東京から東北へ米を求めに行った体験談でも、少なくとも関西とか近畿とか呼ばれる地方の体験談ほどひどい対応を農家にされたという話は聞かない。

 同じ高畑勲監督の作品のひとつに『じゃりんこチエ』がある。この映画の主人公は小学生だが、父親の経営するホルモン焼き店をきりもりしている。なぜなら父親が仕事をほったらかして博打をしに行くからで、これに愛想を尽かした妻は家出し、仕方なく娘が働いている。
 そして、たちの悪い客が代金を誤魔化そうとすると、チエは床に落ちている串を見咎めて喧嘩になる。
 子供が働いている姿に同情して、代金とは別にチップをあげて「これは親に渡さないで君が使いなさい」と言うのではなく、そこに付け込み料金をちょろまかそうとする客。
 大阪の人間は何を考えてるのかと唖然とさせられる。

 これについて大阪の出身者に言わせると『じゃりン子チエ』の舞台は通天閣の麓で、あのあたりは柄が悪く、よく大阪出身の女性は子供の頃に親から、あの辺に行ってはいけないと注意されていたと言う。

 とにかく、そうした地域によるものの考え方とか文化を考えないと、戦争とかTPPとかも、うまく議論できないのではないか。

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by ruhiginoue | 2015-08-15 19:23 | 社会