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by ruhiginoue

脚本家の発想

 去年、高倉健の訃報のさい、その主演作『野生の証明』を、最初に観た時は理解できなくて、何年も後に見直して理解できたことがある、という話をした。主に政治的背景のことだった。
 それだけではなく、例えば高倉健が帰宅したら薬師丸ひろ子がテーブルに伏して泣いている場面。

 「どうしたんだ頼子」
 「だって・・・お父さんの誕生日だからケーキを買ってきたけど、落としちゃったの」
 テーブルの上にケーキの箱があり、ふたを取って見るとケーキが潰れている。「おとうさん おたんじょうび おめでとう」という文字が、かろうじて読める。
 そのときケーキの欠片が手についたので舐める。
 「美味しいよ。さあ食べよう。もう泣かないで」
 
 物語と何も関係がない日常生活なのに、なんでこんな場面をわざわざ作るのか、最初に観た時は解らなかった。
 でも、DVDで見直したら、このような場面があるから、最後の悲劇が盛り上がるのだと、当たり前のこととして受け取った。脚本を書いた高田宏治は腕が立つので、特に工夫したつもりもなく自然と発想が湧いてきたのではないかとも思う。

 ところでDVDレンタルの店は、だいたい出演者で分類しているが、店によって『野性の証明』は、『網走番外地』などと一緒に置いてあったり、『セーラー服と機関銃』などと一緒に置いてあったりする。しかし、監督別ということはあっても、脚本家別ということはまずない。そういうモノカキ的な興味を持つ人が少ないからだろう。


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by ruhiginoue | 2015-10-29 23:58 | 映画 | Trackback | Comments(0)