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by ruhiginoue

東洋医学と同じことが弁護士にも言える

 前回、東洋医学について、誰に診てもらったらよいかは悩ましいことだという話題を述べたが、ここでもうひとつ困るのは、他人から聞いた体験談から、この先生にかかれば何でも治してくれるというような過大な期待をし、是非にと言う人が必ずいるということだ。

 それで、本多勝一さんが書いていた記事に出ていた東洋医学の先生は誰なのかと問い合わせてくる読者とか、『らんま1/2』みたいな整骨師だからと喜んでいる同級生とか、そんな人がいるわけだ。当の整骨院の先生も、そういう感覚で遠くから来る患者が時々いるため、「『北斗の拳』の主人公の兄さんみたいに思われても、そんな期待には応えられない」と言っていた。

 これと似たようなことは弁護士にもあって、法律相談をしたいから紹介してほしいと言うならいいけど、この先生に頼めば困難な裁判でも勝てると勝手に思い込んだ人から紹介してほしいと言われたら、断るしかない。

 これは前に拙書で述べてもいるが、弁護士会の法律相談で出くわした弁護士が、当番だから仕方なくやっている無気力な老人だったなど、当たり外れが激しい。だから知っている人に紹介してもらえば、まだ安心であるということはある。
 また、松本清張の小説『霧の旗』のように、有名な弁護士に依頼したくて地方から東京に来たけれど、出張だと費用も手間暇もよけいにかかるから地元の弁護士に頼みなさいと断られ、それで地元の糞田舎弁護士に任せたら大変なことになってしまった、ということも実際に今だにある。 

 しかし、だからといって、この先生に頼めば解決ということにはならない。これはいろいろな分野に共通することだ。本多勝一さんも、健康問題について総合的な治療をするなかで鍼灸を施術した東洋医学の先生が象徴的に出てきたのだから、とにかくこの先生に頼めばよいというわけではないと書いていたが、弁護士も同じである。
 医療裁判について拙書を読まれた方はおわかりだが、東大医学部で教授に教えてもらったり、被告病院に勤務していた医師がそのときの同僚たちに「このような手術では裁判沙汰になっても仕方ない」と言われたことを証言してくれたことが大きく、それを実現するまで原告当人が悪戦苦闘しており、とてもスマートとは言えなかった。その素材を、弁護士が適切な形に整えたのである。

 ところが、新聞やテレビで一緒にインタビューを受けている様子を見た人が、とにかくこの弁護士の先生に依頼したいと言い出す。東洋医学と同じことである。
 もちろん、適切な人選びは大事だが、それだけではだめだということだ。



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by ruhiginoue | 2016-01-24 17:13 | 司法