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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

田舎の学校に行かせて子供をダメにする親

 韓国の映画で、主人公が少年時代を回想し、小学生の時に転校した当時を苦々しく思う場面があった。
 今の彼は首都のソウルに住み勤務もしているが、もともとソウルの生まれ育ちで、しかし一時は山の中の辺鄙なところで過ごしていた。引っ越したら大変な田舎で、店もないし学校は小さいし、人も少ない。何も無さすぎるので嫌だと言っても、彼の親だって左遷されてしまったから仕方なくで、聞いてもらえない。
 しかも、成績が悪くなったと叱られてしまう。ただでさえ、都会の学校は田舎に比して授業の内容も進んでいるから、都会から田舎に行った子供は最初は成績が良いものだ。しかも彼はソウルにいた当時からいつも成績が良いほうだった。
 だから実際に彼は最初だけ成績が良かったけれど、次第に振るわなくなる。

 彼はなんとか新しい環境に馴染もうと努力するのだが、ことごとく裏目に出てしまう。例えば、学級会で積極的に発言したら白い目で見られる。田舎は何でも「ナアナア」で済ませるから、話し合いなんてものは形だけしたふりするもので、「なにか意見ありますか、ありませんね。では次の議題です。何か意見はありますか。ありませんね」というようにやるのが普通だ。そこで意見や提案をするなんて異常なことなのだ。
 それで同級生から仲間はずれにされるし、協調性がなくて皆と仲良くできない問題児だと担任教師にみなされ、若い女性の教師からは「ソウルの子って、こんな生意気な子ばっかりなのかしら」と嫌悪感も露骨に言われてしまう。

 こんな目に遭っていては、成績が良くなるはずない。この韓国映画が特に印象的だったが、アメリカ映画でも似たような場面があるのを観たことがあるので、世界共通なのだろう。ただ、欧米などより韓国は日本と位置も文化も近いので、似た感じがわかりやすかった。
 そして、自分もこれと同じような体験をしているので、納得であった。ただ、親が左遷されたからではなく、父親が積極的に転居したのだった。それは兄弟姉妹が住んでいたからだった。そうしておいて、学校でひどい目に遭って成績が悪くなると貶す。踏んだり蹴ったりとはこのことだった。

 後に勤務の関係でまた転居することになったが、そうしたら父親と似た水準ではあるが父親ほどは鈍感でなかった母親がこう言った。
 「不便なだけなら対処もできたけど、あの民度の低すぎさには忍耐の限界を超えてしまった。もうあの辺には二度と住みたくない」


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by ruhiginoue | 2016-01-31 17:43 | 社会