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by ruhiginoue

デビッドボウイの指摘で演出を変えた大島渚

 かつて劇映画『戦場のメリークリスマス』がテレビで放送されたのを観たうちの母親は、大島渚が真面目に映画を作ると結構よいと言っていた。
 彼がテレビのワイドショーなどでバカなことをして稼いでいるのは経済的事情があってのことだとしても、とても褒められたものではない。しかし、この映画では主人公のミスターローレンスとビートたけし軍曹のからみなどが良くて、戦争なんてしなくてもよいはずだということがよく伝わってくるという。
 また、隊長役の坂本龍一もキレイだったし、それよりなんと言っても素敵だったのはあの英国軍の捕虜だという。それまでデビッドボウイを知らなかったのだ。
 
 そういうのはうちの母親だけではなく、この『戦メリ』で初めてデビッドボウイを知り、「レッツダンス」しか聴いたことのない俄かファンが「シリアスムーンライトツアー」で来日公演したさいに押しかけてきて、七十年代からのファンとしては不愉快だったと言う人もいた。

 この映画の中で、ローレンスを背負い収容所を脱走しようとしたが見つかってしまうという場面では、奪った小さな銃剣しか持っていないのに、日本刀を持った相手では勝ち目がないとデビッドボウイに指摘された大島渚が、なるほど敵わなくても戦おうとするのは日本人の感覚だと気づき演出を変え、すぐ降参するようにした。
 この、勝てないのに意地や体面で戦う日本人の感覚が、戦争で多くの悲劇となったわけだ。

 ところで、デビッドボウイと同じころ、作曲家で指揮者のピエールブーレーズも亡くなった。
九十一歳だったそうで、デビッドボウイより二十年以上長生きだった。寿命とはずいぶんと個人差があるものだ。


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by ruhiginoue | 2016-02-03 17:33 | 映画