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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

『かわいそうなぞう』と『ドラえもん』

 前回に続いて『かわいそうなぞう』の話。

 この「実話に基づく反戦童話」は、自分の小学生の当時に教師から教室で読んで聴かされた記憶がある。しかし、のちに色々な本や映画や新聞記事から、この話は事実と違うし問題があると知った。

 まず、軍の命令に抵抗する飼育係もいて弾圧された事実があり、これは少年雑誌に掲載された漫画ですら描いていたし、仔象の花子の映画では殺害を命じる軍人に飼育係が「身体は大きくても花子はまだ赤ん坊です。赤ん坊まで殺さないと日本は戦争に勝てないのですか」と命がけで抗議している場面があった。

 また新聞の記事も詳しく検証していた。当時同盟関係だったナチスドイツの役人ですら「檻が破れるほどの爆発があれば中の動物は絶対に死んでしまう」と指摘し、日本軍のやっていることは無意味で不合理で残酷だと呆れかえったこと。動物が死んだことを可哀想だとしながら敵を憎めというプロパガンダがなされ、それにそそのかされた若者から、戦争で頑張って戦うという手紙が来たことを軍が広報していたこと。などなど。

 ところが、戦後になって学校では『かわいそうなぞう』が重用されていた。これは戦争責任を誤魔化す政治的な意図もあったかもしれないが、それより教師という職種には特に蒙昧な人が多かったということではないかと、教師たちの他にも色々ある呆れた言動から感じてきた。

 そしてテレビドラマでは、学校ドラマの人気番組『熱中時代』で水谷豊の教師が『かわいそうなぞう』を教室で読んで聴かせると児童たちは涙ぐむだけでなく、給食で好き嫌いをしていた児童が反省して嫌いな野菜も食べるという下らないオチがついてガッカリした思い出がある。

 しかし『ドラえもん』の特番長編は良かった。「とても可哀想だったけど戦争だったから仕方なかった」という父親らの話にのび太が激怒し、ドラえもんの力を借りてタイムマシーンで象を助けに行く。そしてインドの山中に逃がす。何年も経った後に象と再開する感動のオチもあった。

 ここで重要なのは、タイムマシーンは非現実だが、それは問題ではなく、大人が理不尽に対して変にものわかりがよくなってしまい、これに優等生ではない主人公がそれゆえ怒るという部分だ。 

 だから優等生であることはやめるべきだ。


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by ruhiginoue | 2016-05-12 18:04 | 社会