江川達也の発言が誤解されている
2016年 10月 14日
漫画家の江川達也が、ヒットしている映画『君の名は。』を、受けるのは解るがプロから見ると軽くて面白くないとテレビで発言したことにより誤解されている。
この発言のため、最近はヒット作が無いくせにと非難する人たちがいて、それとともに江川氏が最近ではタレントの真似ばかりしていて本業の漫画が劣化しているという指摘もされた。
たしかに江川氏は『タモリ倶楽部』などテレビ出演してコメントでウケをとっているが、その一方では、漫画の連載が好評でも中途半端でやめてしまったことが何度かあり、また、見るからに絵が手抜きっぽくなっているとして評判がよくない。
このため、晩年の赤塚不二夫のようになっているのではないかと疑われているわけだ。
そして、かつて江川氏は自作の漫画が実写とアニメの両方で映画化テレビ化してヒットしていたのに、最近ではそれがなく、それでいてヒット作にケチをつけているから、自分でヒット作ができないくせにと言われたり、その作品を知らない人からは、テレビでコメントしている江川氏とは何のプロなのかと皮肉ではなく本気で言われたりするわけだ。
しかし、それは関係がないことだ。あくまで江川氏は、『君の名は。』がヒットしていることに理解はできるが、それはウケるように考えて作られているからで、そのことが自分のように漫画と映画に関わってきた経験のある者なら判るとしたうえで、そんな「プロ」の立場としては、ウケ狙いばかりしている志の低さに好感を持てないし、その軽さゆえ儲かっていることが面白くないと言ってるのだから。
もちろん、商業作品なのだから利益を出さなければいけない。特に費用が莫大になる映画では、その責任が重いと言える。だからといって、ウケることばかりでは、作家など無用である。それでウディ アレン監督主演の映画にも、失明した監督が映画を撮ってしまう話があって、これはウケるパターンが決まり切っているハリウッド映画に対する皮肉であった。
そして、アニメ界の大ベテランで大御所の杉井ギサブロー監督が「映画はエンターテイメントなのだからヒットしないと意味がない。しかし、ヒットしそうにないものをヒットさせたいよね」という言葉が示すように、いくらウケる方法には熟知していても、それだけではクリエーターとして足りないということだ。
そういう意味で江川氏が発言したことは明らかである。舌足らずではあったかもしれないが、彼が本業においてはいかがなものかという状態であることとは関係がなく、クリエーターとしては普遍的な問題なのである。
by ruhiginoue
| 2016-10-14 20:55
| 映画





