貧困家庭の芸能人と不仲の不仲
2016年 11月 04日
これと同じように、うちが貧乏だったから芸能で稼いで弟を進学させたのは、歌手の森進一が弟を医学部に行かせたと言われている。それで、森進一は自分が苦労しているからチャリティーに熱心だったが、もっと金をと言ってプロダクションと揉めて干されそうになったことも有名だ。
もともと、芸で稼ごうという人にはよく家庭の貧困があって、これは昔から言うまでもない常識だろう。
それで学費を稼ぐため芸ということもあるし、逆に学歴はあてにならないから芸能という場合もある。例えば歌手の安室奈美恵は、芸能活動のため学校を欠席しがちになったことで教師から卒業できなくなってもいいのかと脅されると、自分は母子家庭だから芸能人になって稼ぎ苦労している母親に楽をさせてやりたいという意思を伝えたうえ、卒業証書をもらっても、それでご飯が食べられるようになるわけではないと指摘したそうだ。
こういう問題は人それぞれで、家庭の経済状態も学歴の必要性も事情が色々と異なるものだ。
そして、それでも幸いだったことは、家族が仲良かったことだろう。貧困な家庭の多くは親兄弟姉妹が不仲で助け合いにもならないのだから。これは、貧困が原因で不仲になることもあれば、不仲が原因で貧困になる場合もあり、鶏と卵とどっちが先かという喩話に該当することだ。
とにかく、家族が円満だから、働いて学費を助けたりすることも、苦労しているにしてはまだ明い話になりうるのだ。よく貧困な家では、本人の資質や友達の影響などで向学心をもった者がいて、学費のために働くと、親兄弟姉妹が遊ぶ金をせびってくるものだ。
これは芸能人だと、昔から、成功した途端に疎遠だった家族が金をせびってきたり、冷淡な親兄弟姉妹が金づるとしか考えなかったり、ということが色々と話題になってきたけれど、芸能のような派手な稼ぎ方ではなく地道に働いてコツコツと学費のために貯めた金を、家族が盗んだり暴力的にふんだくったりもするし、学校に入ればやめさせようとしたり勉強の妨害をしたりで、まともな育ちをした人には耳を疑うような内容である。
こういう話は、すでに色々な人たちが語っていることだから、それによっていくらでも知ることができるけれど、そんなことがあるのだから、貧困でも円満な家庭というのは幸いなのだといえ、その意味でも美談で済ませてはいけないということだ。