SFはどこまで現実化するか
2017年 01月 29日
人間の細胞を含むブタの胎児作製に成功し、いずれは移植用の臓器作りへと向かうとの報道だが、これにHGウェルズの『ドクターモローの島』を連想した人もいるんじゃないか。
これで思い出したが、今もまだ売っているか確認していないけど翻訳のブルーバックスに『SFはどこまで実現するか』があり、かつて読んだものだった。
ところで、あの「リカちゃん」が50周年を迎えるという。リカちゃんは誕生した時11歳という設定だったから61歳になるはずだが歳はとらない。
このリカちゃんはアメリカのバービーちゃんの影響を受けて作られたものだが、バービー人形のヒットに基づくPKディックのSF小説『パーキーパットの日』では、核戦争後のシェルターで生き残った人たちにとって唯一の楽しみになっている。そして最後は妊娠までする。
さらにPKデックといえば、『火星のタイムスリップ』が特に傑作だが、ここでは火星で水を独占する権力者が描かれている。
そして現実では「貧乏人は水を飲むな」といわんばかりの水道民営化を推進するIMFが、次のターゲットを日本に絞っていると警鐘が鳴っている。そうなると『火星のタイムスリップ』みたいになるだろう。
しかし笑えるSFふうの発言もある。こんなものを『産経』は受け売りするより根拠を提示すべきだ。
それは地方の金融機関が主催する櫻井よしこ講演会が改憲の訴えをし、なぜなら「中国は自国だけの宇宙ステーションを建設し、月にも基地を作る計画が現実化している」「中国には核搭載ミサイル隠す“地下の万里の長城”がある」からというもの。
「美少女だったら熱狂の度は高まるでしょうな。大衆は王子様お姫様が大好きだ。童話でも、王子様お姫は善良で、悪いのは大臣なのが相場だ」
というセリフが『銀河英雄伝説』(小説とアニメなどでは若干言い回しが異なる)に出てくるが、たしかに大臣は今の現実でも悪いし、「佳子さま外でのご公務『一段とお美しくなられた』と歓喜の声」という報道もある。
また、極右宗教と軍事産業と癒着する政治家というのも、ついに現実かSFに追いついたようだ。そんな稲田朋美防衛相は、ダテメガネをかけていることは周知だか、さらに奥を見るとマスカラが凄い。これは、顔がのっぺりしているのを気にしている人が、よくやるらしい。
さらに、レイア姫役キャリーフィッシャー急死により『スター・ウォーズ/エピソード9』にレイアはCGIで登場かと言われたが、これは遺族との交渉が進んでいるという噂が浮上したからだ。
これは後に製作会社は否定したそうだが、『ローグ・ワン』でも亡くなったピーターカッシングをVFXで登場させていたからだ。
この調子では、RAハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』に登場するコンピュータが作った革命指導者が現れるのも時間の問題か。『宇宙戦艦ヤマト』の石黒昇らが作ったSFアニメ『メガゾーン23』ではコンピューターの作った人気アイドル歌手がスタジオアルタの大画面から日の丸を背景に軍隊に志願を呼びかけて若者たちが釣られるけれど、そんなことしなくても現実のアイドルたちがもうやってる。
もっと前、ガメラと戦う悪役怪獣の名前を一般公募し、選ばれたものを考えた子供に賞金と賞品が贈られたとマスコミは報じたけれど、それは宣伝のためのヤラセで、それらしい子を連れて来て演じさせただけだったと後から監督が告白した。昔の怪獣映画ですらこれだから、戦争プロパガンダではやって当たり前。
そして「イラク兵の暴虐」を訴えたクウエート人少女という捏造を根拠にアメリカは戦争を仕掛けた。だから「アレッポのバナちゃん」も、その背景を色々と指摘されているのだ。
もう一つ、『スターウォーズ』とは違い現実になりそうなのは、銀河帝国を打倒しようと「話し合った」者たちは共謀罪により全員が逮捕、という事態だ。
これには世論調査で賛成意見が多いとマスコミは報じている。「悪いことをするために話し合うのを取り締まる法律を作ることに賛成ですか」というような質問の仕方をされたら、無関心な人のほとんどは「賛成」と答える。マスコミの世論調査なんて、そんなもんである。
by ruhiginoue
| 2017-01-29 14:48
| 文学