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by ruhiginoue

『風が吹くとき』と同じ今の日本

 おそらく官邸の陰謀だろうといわれている前川元次官を貶める記事のため、読売新聞に「まるで三流週刊誌のような内容だ」という苦情が寄せられ、怒って購読を中止するという長年の読者までいるということが報じられている。

 ところで、先日は新聞の盛んな英国の事情について触れたが、そのさい読売新聞は英国だとデイリーテレグラフ紙に該当すると述べた。同紙は英国の一般紙でもっとも発行部数が多く、他の一般紙でクオリティペーパー(高級紙)として分類されているザ・タイムズとガーディアンの両紙に比べると娯楽性がやや強く、日本で言うところの三面記事を重視し、論説は保守的だから選挙で保守党に投票する読者が多い、ということだ。

 ここに掲載している画像は英国のアニメ映画『風が吹くとき』(原作は82年、映画は86年の発表)の冒頭の場面だが、実写動画からはじまり、それについて報じる新聞を主人公のジムが読んでいる場面へとつなげて本篇であるアニメになる。
 ここでデビッドボウイの主題歌が流れている。『スノーマン』のアニメ化でデビッドボウイがナレーションを担当しているが、原作者が同じである。

 さて、『風が吹くとき』でジムが読んでいるのがザ・タイムズで、右隣にはデイリーテレグラフがあり、左隣にはファイナンシャルタイムズがある。ファイナンシャルタイムズはその名の通り経済紙で、英語で発行している新聞としては世界一の部数だが、英国以外での発行が多い。
 そして英国で発行部数が最も多いのはザ・サンで、これは大衆紙とかゴシップ紙とか言われていて、品の悪いい記事を売りにしているから日本では東スポのようなものだが、下ネタなど男性むけ記事が多いので、芸能やスキャンダルを好む女性は他の大衆紙を読んだりもする。

 この映画『風が吹くとき』で、ジムは硬い記事を熱心だが少し背伸びしたような感じで読んでいる。彼は労働階級である。この話は同じ作者の他の続編というかスピンオフ作品というかの内容で、前の話でジムは刑務所に入ったことがあり、妻に見送られながら護送されていく最後のほうがむしろ悲しい。

 この妻ヒルダは、後の会話でゴシップ紙しか読まないと言っている。だから夫のほうが少し博識であることが話す内容からわかる。
 それにしても、ラジオで戦争になりそうだと報じられているのを聴くとヒルダは「またドイツが攻めてくるんですか」と言う。「今度はロシアだよ」とジムが言うと「スターリンさんは感じの良い人だけど。お鬚が」という調子だ。

 そして、核攻撃で汚染が浸透してくると、田舎暮らしの二人は、お上が指示したとおりの荒唐無稽な対策をとり、政府を信じたまま衰弱して死んでゆく。
 この最後を今の日本は笑っていられない。北朝鮮がミサイル発射実験をしたら、標的となる米軍基地の近くでもないところで、従順な田舎の人たちは、雷対策と同じようにしゃがんだり伏せたりして頭を抱えることを、指図されたまま唯々諾々と従ってやっていた。

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by ruhiginoue | 2017-06-22 15:57 | 映画 | Trackback | Comments(0)