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by ruhiginoue

1977年8月6日『宇宙戦艦ヤマト』劇場版公開

 8月6日は1945年だと広島原爆の日だが、1977年なら『宇宙戦艦ヤマト』の劇場版第1作が公開された日である。

 この物語は、他の惑星からの攻撃によって放射能に汚染された地球を救うため宇宙戦艦ヤマトが活躍するというものである。

 そもそも『宇宙戦艦ヤマト』は、過去の名作からの剽窃が多く、B級作品の面白さだと言われてきたし、そんな作品が後に著作権争いで裁判をしているのは滑稽だとも言われたものだ。

 しかし製作者の西崎義展は『宇宙戦艦ヤマト』のテーマは「愛」であると説き、当時は中高生が受験などで悩み家庭内暴力や自殺をするので社会問題になっていたけれど、それに対する若者達へのメッセージであると発信し続けたのだった。

 さらに、敗戦から復興して上昇気運の日本に同調するようにナショナリズムを込め、それが軍国調と批判されると、続編では女性メロドラマの要素を強めて命の大切さを説いて見せ、巧みに時勢に迎合してきた。


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 若者たちに取り囲まれる西崎義展プロデューサー


 また、欧米のステューデント・パワー発露に影響されて日本でも学生運動が盛んになったが、それが行き詰まり衰退すると、サブカルチャーとかカウンターカルチャーと呼ばれるものに若者が引き寄せられ、消費社会の中に埋没しながら連帯ではなくたむろするようになっていた。
 そうした時代に見事な合致をしてたのだった。

 
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 映画館の前に若者たちが行列しているが、その中には大学生まで大勢いた。



 ところで、アメリカでは学生運動に代わって自由を求めるヒッピー文化が盛んになるが、そのほとんどは一般社会に吸収され、残されたものの一部はカルト化しチャールズ゠マンソン事件などを引き起こした。

 一方、やはり学生運動の衰退した日本では、89年の幼女連続誘拐殺害事件で死刑になる青年がオタクという言葉を一躍有名にしたうえ、95年のオウム真理教事件では、教団で毒ガスを作ってばらまきながら、教団製巨大空気清浄機のことを、宇宙戦艦ヤマトが毒ガス攻撃をかわしたメカに引っ掛けて“コスモクリーナー”と呼ぶ始末であった。

 そして現在は、宇宙戦艦ヤマトがリメイクされているけれども、かつてとは違い下降線をたどる日本の中で自慰的ナショナリズムが流行している。




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by ruhiginoue | 2017-08-06 12:17 | 社会