北海道のカフェにてカレーの話
2017年 08月 31日
長く滞在していた北海道で、観光地にあるカフェに何度か寄ったが、そこの献立にあるカレーについてダメだと言う客がいた。
そのカレーは、家族連れが来るので子供向けに甘い味付けにしていた。その話を店の人から聞いていたので伝えたところ「それで味気ない感じがしたのか。たしかに辛味が全然なかった」と言った。
自分で最初にそのカレーを食べた時、店の人に味付けを訊ねたところ子供向けで甘いとのことで、しかし一味唐辛子があるということだったから出してもらい、かけて自分で味を調節した。
そうしないと、本当に子供向けだ。バターを溶かして味に深みをだすのではなく牛乳をたくさん入れて甘くしていたし、野菜も乱切りで歯応え食べ応えではなく溶かし混んでいた。
それを、その客はどんな味か訊ねることをせず、だされたものをそのまま食べて気に入らず、ではカレーがどうダメなのかとは意識せず、漠然と口に合わないからダメだと言っていて、他人から味付けについて話を聞いて初めて、なぜ口に合わなかったのかわかったのだった。
そんな人が、ただ「食べてみたらダメだった」と言ったら、それを聞いた人は食べようと思わないし、作っている人の腕前やセンスが悪いと解釈するはずだ。
このようにして評判が悪くなることがあるので、献立表(メニュー)に但し書きを入れるべきだろう。実際に、多くのカレー屋は辛さに等級をつけて表示しているし、子供向けがあると別にしている所もある。
また、パン屋でもカレーパンについて中のカレーがどのくらい辛いか表示されている所が多く、自家製を売りにしていたり、市販のルーを使用していると明記したうえその商品名と辛さの程度を併記していたりする。
そもそも、辛いのが好きな人やスパイシーでないとカレーらしくないと思う人もいる。夏の旅行者で汗かき疲れている人など刺激や塩分を欲していることがよくある。あの「ダメだ」と言った旅行者は自転車で何日もかけて北海道内を巡っていた。それが子供向けの甘いカレーでは気に入らなくて当然だろう。
それで、店の人に伝えたところ、客に説明しなくて今まで多分かなり損した可能性があると言っていた。客が喜んでくれないうえ他の客に誤解のクチコミが伝わってはマズイから、今のカレーには説明をして、大人向けを別にしようと言ったのだった。
こうしてみると、飲食店とは味そのもの以上に味の説明と客の同意が重要である。