爆弾は落としたら成功でもミサイルは落ちたら失敗だ
2017年 09月 05日
あの、とっくに遅い「Jアラート」が鳴った朝は北海道にいた。
そのあと役所の広報が拡声器で、何か変なものが落ちていたら近寄らずに警察か消防に連絡するようにと喚いた。
つまり、ミサイル開発の発射実験が失敗して破片などが落下したら、有害物質であることもありうるから触っても近寄っても危ないということだ。
この点で変なのが、自民党の竹下亘総務会長の発言であった。
今月4日、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験で島根県などの上空を通過するとしても、「島根に落ちても何の意味もない」と発言した。
この発言は問題ではないかと指摘され、記者団から撤回するかどうか問われたら「どこが不適切ですか。教えていただければ、考えさせて頂きますが」と言った。
では、どこが問題か教えてあげよう。
同会長は、首相官邸で記者団に「離島だろうと島根だろうと、落ちれば日本国の安定に極めて重大な事態。その上で戦略的に考えた場合、北朝鮮が島根を狙っていることはないという思いを話した」と釈明した。
しかし、爆弾なら上から投下した場合に「落ちる」という表現をするが、ミサイルなら打ち込むものだから、落ちるは失敗した場合だ。それなら落下場所がどこだって危険がある。
その意味で言ったと釈明しているのだから「島根に落ちても」というのは表現として不適切だ。
また、米軍基地や人口密集地と違い「戦略的に」「島根を狙っていることはない」とも言っているので、それについて「意味がない」と言うなら、「島根に落ちても」ではなく、「島根を攻撃する」とか「狙う」とかしても「意味がない」と言うべきだ。
つまり、失敗したら「どこに落ちても重大な事態」だが、標的として狙うなら「島根を攻撃する意味はない」と言うべきだった。
なのに、なんで間違った言葉づかいをするのだろうか。
この不適切な表現のために、発射実験の失敗でミサイルが失速し墜落したり空中で爆発した破片が落下したりの事態になっても、どうせ島根は過疎っているから心配や対策をする意味がない、ということになってしまう。
こうなると、集中豪雨による水害が名古屋ではなく安城や岡崎だったから良かったという自民党総裁選での麻生発言や、震災が関東ではなく東北で良かったという今村復興相の発言という前例と同じ意味になってしまう。
なのに、いったいどうしてしまったのだろうか。やはり自民党の政治家たちの中に、内心では田舎を軽く見る感情があるのではないか。そう疑われても仕方ないだろう。
by ruhiginoue
| 2017-09-05 19:17
| 政治