井上靜の気楽な日誌です。気楽にコメントしてください。おたよりも気楽にe-mail:ruhiginoue@excite.co.jpまで


by ruhiginoue

最高裁判事の国民審査はボイコットしよう

 選挙のついでに民主的な制度のふりをした有害無益な最高裁判事の国民審査が行われる。ここで、この裁判官を不信任しようという呼びかけがされているが、愚かなことだ。

 もちろん、自分としては辞めさせたい最高裁判事がいるけれど、その一方では良い仕事をしていると確信する最高裁判事もいる。
 そして、自分が評価している理由が逆に気に入らず辞めさせたいと言う人達もいる。

 つまり価値観の違いだ。それによって信任か否かと決めるべきではない。なぜなら司法は政治と違うし人気商売でもないからだ。それを投票したところで民主的ではない。こんな制度は廃止すべきであるから、みんな投票を棄権しよう。

 また、毎度のことだが、最高裁判事の審査にさいし、その簡単な経歴と仕事ぶりについて漠然とした情報が与えられていて、これで判断せよというのだから殆どの人たちはわからなくて困るし、そのうえ無知な人達が、わかったふりしたり、わかったと錯覚したりで、デタラメを言い散らしている。
 これは、審査される最高裁判事の関与した裁判について、法律を全然知らない人達の勝手な思い込みによる低劣な扇動である。

 もともと、判例時報でさえ裁判官や弁護士が読んで、その曲解にいい加減にしろと怒りたくなることがあるのだから、まして新聞記事などマスコミ報道はいいかげんな要約をしていることが珍しくない。
 かつて自分が勝訴した裁判について、相手が負けた愚痴を自分のブログに書いていたが、そこで裁判官を罵りながら判決の要旨が滅茶苦茶だったから、同じ被告が別件でも被告になっていたところで、こういうデタラメを書いていたと複写を見せ「チクって」やったのだが、担当の裁判官は率直に話す女性で「まあ、しかし新聞の記事だって司法記者が書いているはずなのに変な要約していることがよくあるのだから、素人ならしょうがないでしょう」と言った。

 なのに、二次情報であるマスコミの報道だけに頼って、裁判の内容を咀嚼しないで記事の切り貼りしたうえで騒いでいる人が大勢いるのだ。
 しかもネットで適当に知っふりしただけのことが多い。例えばあの憲法学の新鋭とマスコミに取り上げられる木村草太という人が最高裁について批判していると言う人の話をよく見たら、そのリンク先は有料会員しか読めない記事で、実際は彼が何と言っているか趣旨を知らなかったから、読みもせず見出しだけ利用しているのがバレバレだった。
 このような人がネット上には多い。

 あと、裁判所は全国各地にあるが最高裁は一つしか無いので全国から上告が集まり、最高裁には最高裁判事でない大勢の裁判官が勤務し下請けで振るいにかけているから、あの判事なら話を聞いてくれるはずだという期待がたくさん裏切られる、という話は前にした。
 このような実態を知らない人ばかり、というより知ることがほとんどできない。かくいう自分だって、東京地裁で原告の立場のさいに、たまたま当たった親切な裁判官から、地裁にいた裁判官が異動で最高裁に行ったことについて、最高裁判所に勤務する裁判官と最高裁判事は違うと指摘され、言われてみれば当たり前のことだが意識していなかったことに気づかされた。

 さらに、日本は三審制といわれるが、事実を争うのは一審と控訴審の実質二回である。最高裁判所での上告審は法律審であるから事実認定は覆らない。
 それに、門前払いでなくても最高裁としては法制度上受け付けられない場合がある。今は亡き団藤重光最高裁判事も、明らかに無実の人が有罪になったけれど最高裁への上告としては不適法だったのでどうしようもないことがあり、中には死刑判決まであったと言っていた。
 そこで最高裁では取り上げられない制度であると伝えたところ、最後の望みをかけていた被告人の家族から「人殺し」と罵声を浴びせられてしまい、つらかったと言う。それで、死刑だけは取り返せないので廃止論を説いた。

 なのに、「この最高裁判事は、この事件でこんなことだったから不信任のバツつけよう」と、口から出任せのようなことを言う人たちが大勢いる。これらは言っているそばから法律も裁判もチンプンカンプンであることがわかってしまう。
 これはネトウヨ連中に限らない。野党の支持者とか現政権に批判的な人達でも、軽薄な人や無知な人ないし極端に左翼っぽい人になると、誤りと独りよがりで冷静な判断ができず、敵認定したらひたすら攻撃という猪突猛進型気質を発揮する。ネットだけなら大した害はないが、運動の現場ではしばしば迷惑な存在と化しているのが現実である。
 そして、最高裁判事国民審査でも同様のことをしているのだ。Twitterで「最高裁判事は国策判事に決まってるーっ。全員バツだっ。この俺様は反権力だーっ」と七十年代の学生運動のノリで叫ぶ単純な人たちがいるけれど、この燃え方からすると、この匿名アカウントは全共闘世代の爺さんだなと苦笑させられる。

 そもそも最高裁判事の国民審査は制度自体が間違っているけど、今の制度を是と仮定しても、情報が乏しいうえ無知な人が法律や裁判の仕組みを知らずにデタラメを煽っている人ばかりで話にならないのある。
 だから冷静になって、投票に行ったら、無益な最高裁判事の国民審査は「棄権します」と用紙を返却することだ。




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Commented by ケーキイーター at 2017-10-20 21:44 x
期日前投票に行って来ました。判事さんの部分は「無責任な事したくないから」と言って、断って来ました。これは多分、お師匠さんに言われなくても、そうしたでしょう。
Commented by ruhiginoue at 2017-10-21 18:14
逆に、「この俺様は反権力だーっ全員バツだーっ」と息巻いている人は、そんなのバカバカしいですよと言っても、そうするでしょうね。
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by ruhiginoue | 2017-10-16 16:28 | 司法 | Comments(2)