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by ruhiginoue

相続の遺留分制度と『犬神家の一族』

 このあいだ、遺産相続の法律について語り合っていたところ、「遺留分制度」の話が出た。この遺留分とは、法定相続を受けられる立場の人が遺言によって受けられなくなった場合に、一定の割合で遺言の効力を否定して法定相続分から取り戻せる一部のことである。

 まず、自分の財産を自分の死後にどうするかは、遺言によって自分の好きなように処分できると法律で定められている。だから、子供が複数いたら気に入った子供に全部または多くを与えて、そうでない子供には少なくするとか全然やらないとか、全部を愛人とか愛人の子供に与える、というようにすることができる。
 しかし、それでは残された家族にも「親孝行したはずなのに」とか「愛人の子供だけなんて」とか言い分があるだろうし、現実の問題として例えば相続税のため家を売って次に住む所を得るにも金が要る。
 そこで、遺言によってどう財産が分配されても、残された家族は遺言で他人の手に渡る財産から法定相続の一部を取り戻す権利が法律で認められている。

 また、極端な遺言により財産をめぐって遺族の間で憎悪が発生しても困る。あの『犬神家の一族』のように。
 この話では、信州財界の大物・犬神佐兵衛が莫大な財産を残して死去すると、その遺言状には、恩人の孫娘だからと佐兵衛が可愛がっていた野々村珠世に全財産を与え、そうする条件として3人の孫息子の中から配偶者を選び、そうしなければ相続権を珠世は失い、ただし3人が死去した場合は無条件で珠代に全財産を与える、などと規定されていたから犬神家の一族は騒然となる。そして、遺族の間で骨肉の争いとなり、おどろおどろしい発展をしていくーという話の展開なのは周知りとおり。

相続の遺留分制度と『犬神家の一族』_f0133526_18131634.jpg


 この遺留分の制度は戦後に出来て、『犬神家の一族』は終戦直後の話だからどうなのか、内容から推測が出ている。

 しかし、ここから話は映画化のことに及んだ。物語の導入で、調査を依頼された私立探偵=金田一耕助が東京から長野に来ると、まず相続人の珠世が事故に遭いそうになったのを助け、これは仕組まれた殺人未遂だと見破るのだが、これが原作の小説では第一章「絶世の美女」となっている。彼女は界隈で美人と評判だった。ヒロインだから当然だが、あと横溝作品によくある血筋の問題に関わる。
 しかし、これについて話を聞いてしていたうちの一人の女性が言った。
 「絶世の美女?それなのに、なんで映画になったら、その役を松嶋菜々子なんかがやっているのよ」
 そう言われてみれば、そうかもしれない。言われるまで意識していなかったが。




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by ruhiginoue | 2018-01-14 11:56 | 司法