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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

子供むけ金田一耕助

 相続の遺留分制度について、よく小説などには不可解な遺言から騒動になる話があるけれど、その対策という意義もある、ということで最初はあくまで法律問題だったが、そこで小説の一例しかも遺言をめぐって連続殺人事件に発展するという極端なものとして横溝正史の『犬神家の一族』に及び、遺産相続人となる女性が絶世の美女という設定だったので、それなのに、なんで映画化でその役が松嶋菜々子なのかと言う女性がいてテーマが逸脱してしまった、という件は前述したとおりである。

 この『犬神家の一族』の映画化では探偵・金田一耕助を石坂浩二が演じていて、この配役で前にも映画化されていたから、松嶋菜々子が出ているのはリメイクである。旧映画化では島田陽子が出演していて、こちらはまだわかると言う人がよくいる。

 こうした女優の評価はともかく、この役はヒロインであるから原作の小説では美女となっているわけで、もしも美女でなければ物語のテーマが変わってしまう。
 例えば舞台や映画の古典的作品『女相続人』は、地味な女性が恋に落ちた相手とはイケメンだが金は無く、彼女は一目惚れしたと言われて有頂天になるが、しかし財産目当てであると父親から反対され対立する。
 こうした話とは違うテーマということだ。

 また、金田一耕助が活躍するシリーズでは、金田一が主人公であると同時に、その物語における主人公がそれぞれいて、これは『犬神家の一族』の場合だと相続人となる女性である。だからヒロインということで美女と描かれているのだ。

 ところが、映像化されると事情が変わってしまう。もちろん金田一とヒロインが主人公だが、小説では大したことなかった印象が映像化されることで強烈になり、『犬神家の一族』といえば「佐清(すけきよ)」である。顔の負傷跡を隠すためにゴムマスクをかぶって無表情になっている姿が不気味なうえ、さらに殺害され遺体を湖に逆さまに投げ込まれ両足だけ突き出るように見えているあの場面はマンガなどでさんざんパロディになっている。
 ただし、というこの先はネタバレであるので言及不可である。

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 それで、あの『ロングバケーション』という人気ドラマでも、主人公が実家に帰らない事情について、田舎だから人目がうざいという意味のことを言うが、その田舎さが半端ではないという喩えに「スケキヨ」の実家のようだと言っていた。

 しかし、こうした地方社会のドロドロしたものを題材にしているものが有名である一方、江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」のように少年少女むけにアレンジされた金田一耕助シリーズもある。例えば江戸川乱歩の少年探偵団シリーズだと『夜光人間』があるけど、横溝正史の少年少女むけ金田一耕助シリーズには『夜光仮面』があった。これは小学生の当時に読んだ記憶がある。

 ここでの金田一耕助は、やはりヒーローなので明智小五郎と同様に颯爽としていた。他にも映画でスーツ姿のダンディな金田一耕助を片岡千恵蔵が演じていて、いつも変装して潜入捜査しているから、彼の当たり役「多羅尾伴内」と同じということだが、それと同じで少年少女むけの金田一耕助は活劇調であった。クライマックスは謎解きではなくアクションである。
 これに慣れていたので、後に横溝正史が今でいう「再ブレイク」して続々と劇映画やテレビドラマが作られると、ずいぶん違ったものになっていて驚いたものだ。




by ruhiginoue | 2018-01-18 12:53 | 文学