医学全否定論の存在を社会に浸透させよ
2018年 01月 29日
先日、ツイッターで話題になっていたのだが、このツイートを書いた人のようにある認識が欠落している人が少なくないのだろう。
この人は、
「科学は人を幸福にしたか?」
という問いに対して、
「科学がなかったら、生きてさえいない人が大半」
という答えであった。そして、これで充分だと思うと云う。
そして解説する。
「1800年の人類の総人口は10億人しかいない。乳幼児のうちに死んでいるか、そもそも生まれていないか」
続けて
「不幸も幸福も、生まれてくるというスタートラインあってのこと」
これでは、生まれてからどうなるかの問題なのに、まるで答えになっていない。
だから、この誤りを指摘する人たちがいた。
そもそも科学がなければ生きられなかった人間もいれば、科学が発達したせいで死んだ人も大勢いる。どちらでもなく、特に科学からの恩恵を受けていない人もいる。
また、このような問題について全体として統計的に語ることで結論とすることはできない。
もう昔のことだが、手塚治虫の『ブラックジャック』でも既にこの問題は語られていた。医学によって人口が増えると食糧が足りなくなり餓死者がでる。医学の存在意義はどうなのかと主人公が自問自答している。
こういう話をしないのでは答えにならない。
ただ、人口が増えたから良いという半端な考えで結論してしまう人が珍しくないのは、そもそも利益があるのか、あるとしても収支決算とかバランスシートとかの視点から赤字になっていないか、という肝心な視点を欠落させた人が人が少なくないからだろう。
だから例えば、予防注射の効果に疑問が指摘されたり深刻な副作用が問題になったりすると、それを否定しようとする人が「反ワクチン」とレッテル貼り攻撃するのだ。これはとんでもない話で、疑問や問題の対象となっているのは特定の薬のことであり、その病気に関する予防薬すべてのことではなく、ましてや予防薬全体のことではない。
このような誤りは、「反ワクチン」が何たるかを知っていれば起きないはずだ。知っていたら、どんなに悪意があってもなかなか言えまい。
つまり、生き延びれる者と死ぬ者とは自然に任せないといずれ種が弱くなって滅びる危険があるとか、人口が増えすぎると資源の枯渇や食糧不足や環境破壊さらに戦争になったりするとか、そうした理由から医学それ自体の存在を全否定する立場があり、それを知っていれば特定の医療や医薬品の問題とは区別できるはずである。
なので、この意味でも反医学の認識を社会にもっと浸透させるべきである。
by ruhiginoue
| 2018-01-29 18:11
| 学術