「紀伊国屋文左衛門を見てごらん」
2018年 02月 21日
税金の時期だが、本の売り上げを見ていると、「取次」と呼ばれている問屋の取り分が多いという話を出版社に言われたことを思い出す。出版社と書店の間を取り次ぐという意味だが、出版社との力関係で契約が異なるとか、週刊文春が週刊新潮の見出しをカンニングしたというあの事件で現場となったとか、いろいろな問題や騒動の舞台となっている。
そして先日、小説家の女性が地方で自ら書店を開こうとしたら、書店の取り分が少ないことに驚いたと述べていた。本の場合は委託販売であるから商品の仕入れに資金が要らず場所さえあれば開業できるということで、どうしても店の利益が薄くなる。
かつてレコードとかCDの仕事をしたことがあり、そのさい色々な店に行くと、次の仕入れのために返品ばかりしている店は、商品の棚や業界用語で「餌箱」と呼ばれている商品の入れ場がガラガラになっているところがあり、経営状態は一目でわかるからセールスに行くときの判断が比較的楽だけど、それと書店は異なり、儲かっていようといまいと商品がいっぱいということもありえる。
ただ、書店は、薄利であるところへ、売れないときの返送料とか、万引きの被害とか、そういう負担をしなければならないので、これが大変である。
また、書籍は売れないから返そうかと思っても、もしかすると明日売れるかもしれないと迷うが、そうではないのが雑誌で、売り上げの目安がつけられたのだが、これがスーパーやコンビニで売られるようになり、他の買物のついでという人が激増した。前に近所の小さい書店が商売替えしてタバコ屋になってしまったけれど、それは目の前にコンビニ店ができたからだった。こういうことが影響している。
ということで、書店も出版社も著者らも努力はしているが、流通の問題があるということは、昔から言われてる。
かつて井上ひさしが書いていたけれど、彼の母親が戦時中に闇物資の流通で稼いでいて、これについて「無力な政府に代わって物資を生産者から消費者に届けている」と社会的意義を説き、これでけっこう儲かっていることについては「紀伊国屋文左衛門の話があるだろう。三井や三菱も、そうだ。みんな物や金を動かすことで大きくなったじゃないか。文句があったら、物を作るより動かすほうが儲かるという経済の仕組みに言いなさい」とのことで、これは当たっていると井上ひさしは書いていた。
by ruhiginoue
| 2018-02-21 18:03
| 経済





