ヤンデンマンからケントギルバートまで
2018年 03月 08日
事業に失敗が続いて金に困ったケントギルバートがヘイト本を出しているが、その内容に間違いがあっても自らは関知しておらず、お粗末な本であるうえに名義貸しであろうと指摘されている。
それでも売れているらしく、白人に説教されると日本人は受け容れるという企画意図が当たったようだと報じられている。
この、白人の説教を日本人は受け容れるというのは、もともと大橋巨泉が確信犯的にやっていたことで、外圧に弱い日本人に対して有効であるから、日本の古くて悪い部分をリベラルな立場から否定しようとするものだった。
だから、よく社会派のエンターテインメント番組で大橋巨泉は、親しいアメリカ白人のマスコミ関係者を相手に得意の英会話で天下国家を語ってみせ、これを売りにして成功していた。
そして、大橋巨泉が司会をするクイズ番組に出演していたケントギルバートは、大橋巨泉の死後その手法を悪用し、アジアへのヘイトと日本への御世辞という商売に利用したのだろう。
しかしケントギルバートは金のためだと割り切り、どうせ自分は外人だからと「旅の恥は搔き捨て」の感覚でいるはずで、これに乗せられる日本人のほうが無様である。
かつて、週刊新潮の元編集部次長で亀井淳という人が、退職してから色々なメディアに週刊誌論を書いていたけれど、そのさい元勤務先の週刊新潮について内部告発していた。週刊新潮にコラムを連載しているヤンデンマンという外国人の特派員は、いつも右翼の立場から日本の報道を下品な調子で非難しているが、これは非実在の人物であり、編集部の者が交代で書いていて、亀井自身もヤンデンマンになりすまして書いたことがあると告白する。
そして、この架空の偽外人は、自分が何か言うと欧米の記者たちも共感したことを披露するが、もちろん作り話で、だいたい内容的に欧米の記者がそんなこと到底言うわけないと読んでわかるほどであるが、しかし日本人の持つ欧米先進国コンプレックスや白人コンプレックスに訴えかけるのが目的だったそうだ。
この告発は80年代の前半のことだった。それから30年以上も経っている。なのに日本人の白人コンプレックスは相変わらずということで実に情けないのだが、これは、いま日本で流行っているナショナリズムなんて程度の低い「愛国ごっこ」であるという指摘が当たっている証左であろう。
by ruhiginoue
| 2018-03-08 17:48
| 社会