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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

自殺か他殺か冤罪か

 古傷が痛むので湿度計を見たらやはり高まっていて、これは降るかと天気予報を確認したところ雨とのことで、次の日になっていたら当たりだった。
 しかし梅雨冷のような、気温は高いのに寒いのとは違う。

 ところで、西部邁自殺について警視庁が事件性の疑いで再捜査と報じられている。身体を結んでいる紐または帯の状態が自らでは不可能な締め方と思われる状態だったことから、他者が関与したと考えられるそうだ。
 あの当時は、みんな寒い寒いと言っていたものだ。そんな中で、自殺の方法なら他にいくらでもあるのに、よく川に飛び込む気になったものだ、と言われていた。それで、普段から自殺の意思を話していたうえ遺書もあったから他殺ではないとしても、自殺幇助事件だったのではないかというわけだ。

 そういう事件は自殺幇助の他にも、自殺のようだが他殺であるとか、犯人が別だとか、過去にいろいろな事件があった。そのうち、水中で遺体が縛られていたということで多くの人が映画を思い出すなら『太陽がいっぱい』だろうけど、日本で実際にあった事件に基づいた『青春の殺人者』という映画もある。『太陽を盗んだ男』の長谷川和彦監督のデビュー作であった。
 この映画のモデルになった殺人事件は、海に投棄されていた夫婦の遺体の縛られ方が疑問であった。両親と不仲だった息子の単独犯行とされたが、それにしては遺体を縛った紐の結び方が夫婦で異なっていて、複数犯であることをうかがわせた。

 しかし、この事件により、まず中上建次が短編小説『邪淫』を書き、これを長谷川和彦監督が映画化したのだけれど、短編小説を長編劇映画にするためモデルの事件に近い内容としていて、例えば小説では撲殺だったものを映画化では事件と同じく刺殺にしているが、小説と映画どちらも息子の犯行として描いている。

 しかし他に真犯人がいるという説は根強く、被告も否認し続けている。しかも裁判で有罪になったのは九十年代に入ってからで、映画が公開された七十年代当時は未決の事件だった。つまり、未決の時点で冤罪を訴える『真昼の暗黒』などとは逆で、もともと社会派映画ですらなかった。
 この件で、小説と映画についてどうかと語っていたら、冤罪事件の問題にとり組む同志社大学の浅野健一教授(当時)は、被告人と面会もしていて、あれは冤罪だと断言した。また、被害者の親戚に真犯人と疑われている人がいるそうだ。
 この会話を聞いて、やはり冤罪事件にとり組む山際永三監督は、どんな映画かと思い『青春の殺人者』を観たそうだが、そうしたら事件についてより演出がひどすぎると言った。人物描写にブレがあると指摘し、小説よりモデルの事件に近づける過程で脚本が迷走したという話についても、それは関係なくてあくまで演出の問題だとし、「今村昌平は弟子に何を教えているのか」と言っていた。長谷川和彦監督は今村昌平監督の弟子筋である。

 また、自殺といえば今の森友学園などの問題から黒澤明監督『悪い奴ほどよく眠る』を皆が思い出している。『ゴッドファーザー』が影響されたとコッポラ監督が言っていた。『ハムレット』をもとにした復讐劇だけど、土地の公的使用で不正があり発覚しそうになると担当者たちが自殺に追い込まれる。
 しかも、逮捕されそうになった部下が上司からの伝言「あくまであなたを信頼しているのでヨロシク」を聞いて暗澹たる表情となり、この直後に自殺する。「忖度」によって自死したわけだが、いま国会で「誰の指示だ」とかやっているけど、こんな調子だったのではないか。

 ということで、映画のネタになっているとおり自殺か他殺かは区別しにくいということだ。
 それより自分としては湿気が高くて辛い。



by ruhiginoue | 2018-03-16 17:51 | 映画