サルコジ元大統領の身柄拘束と日本の報道の欠陥
2018年 03月 21日
サルコジ元フランス大統領が身柄拘束されたと報じられている。リビアから不正に莫大な政治資金を受け取っていた疑惑のため、とのことだ。
もともと、サルコジ程度の人が大統領になれるとは不可解だと言わていて、しかし潤沢な選挙資金があったという指摘と共に、その金は不正なものだろうと怪しまれていたのだ。そして、ついにリビアからの資金提供疑惑が本格化したということだ。
この疑惑について、リビアの最高実力者だったカダフィ大佐(と、よく言われるが本当の階級は不明で、軍人だったのは確かだが、本人が言うには退役しているから軍の階級は無関係とのこと)の息子セイフイスラム氏が以前「私がサルコジを大統領にしてやったのだ。選挙資金を送った記録もある」とテレビのインタビューで明言していた。
これは、もしサルコジ氏が大統領になったら、石油の合弁事業をうまく進めるため協力し合う条件で、リビアは産油国で外貨が豊富だから莫大な選挙資金を提供し、おかげで当選なんて無理そうだったサルコジが大統領になれたということだ。
それがバレそうになって焦ったサルコジ氏は、証拠隠滅や口封じをしたかった。だからリビアをNATO軍が攻撃した時にフランスが率先していたのであろうと指摘されていた。

かつて80年代には、リビアとアメリカの対立が激かったので、リビアは核開発の研究をしていた。当時大ヒットしたハリウッド映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』で、タイムマシンに使うプルトニウムがリビアの工作員から騙し盗ったものだったのは、こうした情勢が反映していたのだ。
そしてリビアの首都が米軍機に攻撃されるトリポリ爆撃事件もあった。兵器施設を破壊するためだとアメリカ軍は説明したが、のちにニューヨークタイムズ紙のハーシュ記者によって、実はカダフィ氏の殺害を狙ったものだとすっぱ抜かれた。暗殺は失敗で、爆撃の巻き添えで犠牲になったのは、カダフィ氏がイスラム教の精神により引き取って世話していた身寄りのない子供たちだった、という悲劇。
このときフランスはアメリカを強く批判していた。それとは打って変わってフランスがリビア攻撃を率先するようになり、これは選挙資金提供の発覚を恐れたサルコジ大統領の意向ではないかと考えられていた。だから怒ったセイフイスラム氏が、その通りだし証拠もあるとテレビのインタビューのインタビューで明言したのだ。
ただし、リビアは欧米との対決一辺倒を改めて核開発を放棄しており、そうでなければNATO軍に攻撃されることはなかった。やはり妥協したら付込まれると、ロシアのテレビなど盛んに報じていて、これは北朝鮮でも放送されていた。平壌に行った人がそう言っていた。そういうことなら、ミサイル開発や核実験のことも動機が容易に解る。
しかし、これら既に海外で指摘されていたことが日本では報じられないから、世界情勢も国内政治も本質が見えてこないのだ。サルコジ氏拘束の報道も、ただリビアから不正な資金提供の疑いというだけで終わってしまっている。
だから前から言っていたじやないか、という心境である。
これはもちろん、拙書『朝日新聞の逆襲』で、こうした指摘をしながら報道のあり方を既に批判していたからだ。
しかし、同書は後半の中東報道批判が、あちこちの出版社から理解されず、中東問題に力を入れカダフィ語録の邦訳も出していた第三書館だけが解かってくれた。
なので、いまさらながら同社の代表である北川明様には、感謝の極み。
by ruhiginoue
| 2018-03-21 17:00
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