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by ruhiginoue

神原元弁護士の破綻した主張は稲田朋美弁護士と酷似

 大量の懲戒請求に対して訴訟にするという弁護士たちに、乗る同業者もいれば批判する同業者もいる。
 その批判する弁護士が法律的な見地から指摘していたので、大意だが紹介する。

 懲戒請求に対して訴訟提起することを否定するつもりはないが、総額300万円程度の請求額が適正金額と考えられるので、それをはるかに超える総額3億円くらいの訴訟提起や、これを前提とする和解提案(特に本件は弁護士が付いていない素人が相手)は問題だ。
 あの橋下徹氏による煽動により、各弁護士に約600件も懲戒請求されたことについて、不法行為が最高裁で否定されたものの控訴審の高裁は不法行為を肯定して損害賠償請求を認めたが、その際に弁護士がそれぞれ受けた精神的苦痛に対する慰謝料として認められたのは80万円だった。
 この不法行為というものは、損害賠償の二重取りを許さないので、複数の行為者による損害が共通していて、それについての賠償を既に受けていれば、それ以上の損害賠償はできないことになる。これは共同不法行為となるかどうか(=関連共同性の有無)とは別の問題だ。
 そして、一部の加害者から全体としての損害額の賠償を受ければ、その後に他の加害者への請求(和解の勧誘も含む)は不当請求となり、すべきでないことになる。法律知識のない素人に対してはなおさらそうだ。
 「和解しなければ訴訟だということのどこが問題か」という人がいるけど、ここで問われるべきなのは、「法律のプロが、先例によれば裁判所が全体で100万円程度と評価するであろう請求について、素人を相手に、総額なら3億の請求が成り立つとして、総額で5000万円を前提とする和解を提案することは如何なものか」だろう。
 にもかかわらず訴訟対応を応援する同業者が多いのは、不当懲戒請求者という弁護士の敵を叩きのめすという構図だからかもしれない。しかし専門家の説明義務が言われる中、プロが素人の無知につけこむのはアンフェアだし、ひいては弁護士に対する信頼を損ねることになると思う。


 以上のとおり、とても明快な指摘であった。

 もともと弁護士会は、自治と開かれた請求制度について広報不足であり、弁護士に懲戒請求しても身内意識で甘く、このため弁護士により被害に遭った人が、弁護士会の責任を追及して訴訟を起こしたことも報道されている。


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 このように弁護士会および日弁連は、自治をいいことに身内の庇い合いばかりして公的責任を果たしていなかった。
 しかし、あの橋下弁護士が大量懲戒請求を煽る発言をテレビ出演したさいにやらかすという問題を起こしたのだから、これを機会に各弁護士会および日弁連は広報に努めるべきであった。
 もし同じことがあってしまった場合には、問題が起きる前に説明や告知をすれば、解決できたことがたくさんあるのに、それすら怠った。
 そうしておいて、そこの会員である弁護士が素人の請求者を追及する。こんなの変だと気付かない方がどうかしている。
 また、判例では、訴訟提起や告訴や懲戒請求について、弁護士なら一般人より法的な知識と能力を多く持つので間違いには厳しくあるべきとされているのだから、逆に言うと弁護士の橋下氏でさえ認められなかった高額な賠償金を素人に請求することは不当である。これを弁護士ならわからないわけがない。

 これに対して、訴えた側の神原元弁護士は、この背景に差別問題があるとし、これを批判する同業者はわかっていないと言っているが、それはあくまで事情である。日本には懲罰的賠償金の制度があるわけでもない。だから何とこじつけようと、過剰な賠償金を請求することで威嚇し、素人相手に和解を迫っていると言わざるを得ない。
 しかも、純粋に法律的な問題を説く専門家に対して、反論するのではなく政治性を持ち込み、それを差別の問題があるからということで正当化しているが、こういうことであの狭山事件は弁護と支援が分裂したのだけど、そこから教訓を得ていないということだろう。

 これについて神原弁護士は、法的な問題について賠償額なら原告を増やせば済むとか言い、そのうえで、本件は単なる弁護士に対する攻撃でなく差別扇動事案であり、このことが問題として大切だと言う。
 それなら、なぜ煽動者を追及するより先ず無知ゆえ煽られた素人を攻撃するのか。しかも、この一般人の無知は、本人だけの責任ではなく弁護士会と日弁連に大きな責任があると指摘されているのだ。
 そのうえ神原弁護士は、こうした法的な指摘に対し、差別問題の認識を欠いたまま自己承認欲求のみに基づく専門家ぶったコメントなどと言い放った。無関係の人格攻撃をすることで中傷したのだ。専門家ともあろう者が専門性を否定しているし、これではまるで同和問題の急進派と同じではないか。

 だいたい、過大な請求であり法的に不適切という他の弁護士からの指摘に対し、なら原告を増やすと言うのは奇策にすぎず、そもそも原告の佐々木亮弁護士らが、相当の損害があったので相当の賠償を法的に請求する権利があると主張していたこととの整合性が無い。神原弁護士の主張はすでに破綻しているのだ。

 そもそも弁護士が法律的に無理なことを奇をてらったやり方で押し通したうえ政治性により正当化するのでは、朝日新聞を訴えた稲田朋美弁護士と同じだ。神原弁護士に限らず、お仲間の弁護士らも、一様に言う。懲戒請求者たちはこんな悪いことを続けている連中にそそのかされて、いろいろと間違っているのだから、と。
 こう言って賛同を呼びかけているが、稲田朋美弁護士も同じだった。こんなことを朝日新聞は書き続けていて、いろいろと間違っていて、煽動された人たちも同罪だと。
 どちらも、いちおう合法ではあるが、報道や言論の自由とか弁護士自治の開かれた制度とか、これらは自由と人権のためにあるのだから、まずはここを尊重すべきなのに、隙を見つけて攻撃したうえ、政治的に正しいという己の主観的な価値観によって正当化している。完全に同じである。政治的な左右が違うだけだ。

 なのに、煽られたり尻馬に乗ったりで一時の熱狂から支持し、冷静になれと指摘する者を攻撃する。そんな人たちは、懲戒請求したネトウヨと一緒なのだが、これに気付かないのが痛々しい。


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by ruhiginoue | 2018-05-22 12:10 | 司法 | Trackback | Comments(0)