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by ruhiginoue

クリスマス映画はどれか

 国会で山本太郎議員が抗議の声をあげていた時、映画『スミス都へ行く』(1939年)を連想したが、これを彼は観たことあるだろうか。

 この映画の影響を明らかに受けている日本映画がある。テレビドラマの人気脚本家であるジェームズ三木が、原作と脚本と共に初監督した作品『善人の条件』(1989)である。突然死した市長の後継として選挙に担ぎ出された男が、最初は理想を掲げていたけれど、現実の政治の汚さに巻き込まれていくまでは同じである。
 これは公開当時、コメディの形をとりながら田舎の政治にある構造を暴き出したことで良心的な作品だとする映画評論家(山田和夫など)もいたが、「おすぎ」は酷評していた。何か事件が起きて背景に政治の問題があるというのではなく、これだから政治は問題だと描いているから、これでは作者が観客にお説教している、というものだ。

 ところで『スミス都へ行く』のフランク=キャプラ監督といえば、クリスマス映画の定番『素晴らしき哉、人生!』(1946)も、よく知られている。

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 これは巨匠キャプラ監督の自信作であったが、まず興行的にふるわず、またアカデミー賞ではもう一人の巨匠ウイリアム=ワイラー監督の名作『我らが生涯の最良の年』に取られてしまった。
 しかし、内容がクリスマスの話だからとテレビでクリスマスに放送されると好評で、アメリカではクリスマス映画の定番となった。
 これは有名な話。

 よく言われるように、黒澤明はジョン=フォード監督を尊敬していると言っていたけど、最初に強く影響を受けていたのは明らかにフランク=キャプラ監督で、だから作風はダイナミズムよりセンチメンタルの方が最初は勝っていた。
 また、黒澤は日本の監督で一番は溝口健二だと言うけど、実際に最も尊敬していたのは成瀬巳喜男だったと周囲が証言している。黒澤は、溝口が良い映画を撮れるのは押しの強さだと言っていて、溝口は成瀬について「シャシン撮るのはうまいがキンタマがない」と言って、おそらく軟弱だということだろう。
 そして時代小説で、黒澤は山本周五郎を何度も映画化したけど、池波正太郎には手を付けてなかった。

 さて、普通クリスマス映画なんて意識してないものだが、内容がそうであることや、その時にテレビで放送されていたとか、年末の公開で映画館で観たとか、そういうことが大方だろう。
 この点では、自分は『グレムリン』(1984)だった。年末に公開で、クリスマスの話だから。今は無くなった新宿ミラノ座であった。




by ruhiginoue | 2018-12-24 13:26 | 映画