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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

医者が医療被害者の診療を忌避したがる事情

 過日、子供が薬の副作用による被害に遭ったと訴えている親たちが、その子供を医療機関に連れて行ったら、そこで診察した医師から、そんなことは無いとか、子供が演技をしているとか、頭ごなしに嫌らしい調子で否定されたという証言をしていた。
 
 これについて、医師の性格や人間性の問題だと受け取っている人もいるし、あるいは製薬業界から研究資金の提供を受けていたり、そのような者が上司であったり、という関係が指摘される医師がいるので、その影響を疑う人もいる。

 それらもあるだろうが、現実は、もっと単純だったりする。
 例えば、医師は診察の依頼をされたら拒否できないので、仕方なく診ただけだということにもなり、後で証言などを求められても嫌なら断れるけれど、後から診た医師すなわち「後医」になると、自分の意思で診たことになるから、証言などを断れなくなることがあって、このため何か問題が起きた患者に対しては、巻き込まれたくないからと拒絶の態度をとることが多い。

 もっと深刻で醜いことに、被害の原因を作った医師が責任逃れしようとして、後から診察や治療をした医師のせいにすることがある。これを恐れて逃げる医師もいるのだ。

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 これは防衛医大が、そうだった。後で治療のために手術をした医師が悪いのではないかと、裁判で言い出したのだ。

 それで、裁判で明らかにしようということになったら、国が嫌がった。後で手術をしたのは東京警察病院である。防衛医大が責任逃れのため東京警察病院のせいじゃないかと言い出し、これについてどうかと東京警察病院に訊けば当然ながら反論するだろう。
 そうなると、裁判で自衛隊と警察が対立することになる。そんなこと国としては、やらせられない。
 そこで、国が責任をとって賠償金を払うけれど、悪いのは担当の医師だということにしたわけだ。

 このため、裁判所が国の非を認め、そのうえ国は控訴もせず受け入れ、非常に困難な国賠訴訟で患者側が勝ったから画期的だとマスコミに取り上げられたのだが、しかし責任問題としては「トカゲのシッポ切り」なのだ。
 この国側の目論見は成功し、現役自衛官から「しょうもない医者だけど、今はもう自衛隊の病院にいないんでしょう」と、よく言われたのだった。



by ruhiginoue | 2019-01-09 20:30 | 社会