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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

芸能人の政治的発言とアメリカの事情

 ファッションモデルでテレビタレントのローラさんが署名運動に賛同して呼びかけたことに、出演するCMのスポンサーはどこも問題ないと言っているし、そういうことが企業として気になるなら、その都度タレントと話し合い契約すればいいだけのこと。
 なのに、関係してもいない者がよそ様にとやかく言うべきでない。

 これについて色々な人が様々な意見を述べる記事をウエッブサイト上で読んだが、そこで古谷経衡氏らも指摘していた。契約のさいに何か合意があって、それに違反したなら契約違反になるけれど、そういうことが無ければ何も問題はないはずだ。その通りで、まったく正しい。
 ただ、ここで古谷氏は間違ったことも述べていた。芸能人の政治的発言について、アメリカでは歌手が選挙で特定の候補者や具体的な政党の支持を表明するということを具体例にしてしまっているのだ。
 これは、あくまで選挙の支持を表明するだけで、戦争反対などは言えないのだ。特に歌手は、テレビやラジオから干されることを恐れる。

 かつて俳優のティム=ロビンスが言っていたけれど、ブッシュ大統領を批判して戦争に反対したら「陰ながら応援しているので非公然ならできるだけの支援をするので頑張ってくれ」と歌手からエールを送られ、そのさい「君は俳優だから何とか声をあげられるが、私は歌手なのでラジオから干されたら死活問題なんだ」と。
 つまり同じ芸能人としてひとくくりにはできず、なぜなら活躍するメディアの違いがあるからだ

 あと、アメリカの芸能人は俳優・歌手などとCMタレントは分離している。直接的に商品や企業の宣伝をするCMタレントは芸能人として格が低く、スターやセレブになったらCMに出るとしても企業や商品とは距離をおくから、スポンサーとの間で問題にならない。

 例えばマイケル=ジャクソンはペプシの宣伝をしていたが、これはマイケル=ジャクソンにとってペプシはコンサートのスポンサーだからで、ペプシとしては宣伝のためマイケル=ジャクソンを利用しているだけだった。
 だからマイケル=ジャクソンは宣伝に出てはいても商品を手にするなどはしなかった。

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 また、これは拙書『朝日新聞の逆襲』で述べたとおり、作曲家のジェリー=ゴールドスミスが『ロサンゼルスタイムズ』のCMに出ていたけれど、これは彼がロサンゼルス出身のうえハリウッドで活動しているためビバリーヒルズに住んで居る、という縁があってのこと。同紙の報道や論調に共感しているということではない。CMで彼は新聞を手にして読んでいたりではなく、ピアノに向かっていたり楽譜を書いていたりで、ここで彼が持論を述べているのはあくまで映画音楽についてのことだ。
 そして、この提供はロサンゼルスタイムズであると締めくくる。互いに距離を置いたCMである。



 というわけで、アメリカの芸能やマスメディアは、政治的自由について日本と違い立派だという幻想をもってはいけないし、しかし日本よりは洗練されたことをやっている、ということだ。



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by ruhiginoue | 2019-01-03 00:11 | 芸能