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by ruhiginoue

誰が殺したクックロビン

 漫画家に描かせた安倍総理が美化しすぎで似ても似つかないと話題だが、これで想い出したのが『パタリロ!』の第一話。
 パタリロが訪英すると、MI6のバンコラン少佐が護衛のために来てパタリロ殿下に会いたいと当人の前で言い、目前に見て気づかなかったのは公表されていた写真と大違いだったからで、チョット修正したとパタリロは言うが、どう修正すればこんなに別人になるのかとバンコランは呆れて言った。
 ただ、もともとの印象なら、金正恩のほうがパタリロに近いだろう。

 それはともかく、ある同級生は『パタリロ!』を全巻もっている。それは偶然のきっかけで単行本を読んだら面白かったので買って読んでいるうちに全巻揃ってしまったということだった。だから連載されていた雑誌を知らず、同じ『花とゆめ』に連載の人気作『ガラスの仮面』や『スケバン刑事』を知らない。

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 また、彼が『パタリロ!』を知ったのはかなり後になってからなので、テレビのアニメになっていたのも知らなかった。
 しかも、原作を読んだことがない人やアニメをちゃんと見たことがなくても知っている人がいるほど人気だった「クックロビン音頭」を知らない。「♪だーれが殺したクックロビン」と歌って聞かせると「そんな曲が付いてたのか」と驚く。
 なので、最初は曲がなく、そのあと曲が付いて「♪だーれが殺したクックロービン」だったけど、伸ばすのではなく短い休符を入れて「♪だーれが殺したクックロ・ビン」に変えたということも、もちろん彼は知らなかった。

 この「クックロビン音頭」がエンディングテーマ曲(昔は「終わりの歌」と言った)になったのは、放送時間と題名が変わってからだ。原作を知らない人は題名の意味が判らないので、主人公のことだと明記する意味で『ぼくパタリロ!』とした。
 その前、最初は「美しさは罪」というデカダンな雰囲気の歌だった。バンコラン少佐は切れ者で射撃や格闘が得意な諜報員であると同時に美形の男色家で「美少年キラー」であることを謳っている。
 この歌は雰囲気たっぷりだが子供に解らない。それで、テレビのアニメは子供も見るのだからギャグを強めよう、ということで変えたらしい。
 
 しかし、その同級生はアニメ化を知らないから、パタリロ役の声優が死去したことにも無関心のようだ。
 そんな彼と違って自分はアニメしか知らないから、もう八十歳代だったのかと思ったし、最初にテレビで見たときバンコランの声を聴いてポリマーの声だなと思ったことなどの記憶がある。
 あと、最初はベテラン辻真先の脚本のうえ絵も丁寧だったが、後から子供むけギャグが強まったことで定番ギャグとダジャレで笑わせるようになり、アニメらしい動きが乏しくなってしまった。これではアニメではなく紙芝居だと言う人もいた。

 このアニメ化を見ていたら、同級生は前半の方がいいと言っただろう。男色をギャグにしていることを、もともと面白がる人だ。だから稲垣足穂などを読んでいたし、三島由紀夫の小説も初期のものが面白かったと言っている。
 そして芸能人の女性で誰が好きということも、ほとんど言わない。ただし、これはあくまで芸能に関心が乏しいからだ。だから当人は同性愛者ではなく、それどころか非常に度を越したほど女好きである。彼にとって「衆道」とは文学の中で楽しむことだ。

 つまり、現実の嗜好と文化的な趣味とは別ということである。





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by ruhiginoue | 2019-05-13 13:35 | 文学