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by ruhiginoue

ミーロ=オシーアふんする弁護士と裁判官

 映画『評決』は法廷ものだから、法曹関係の言葉が色々と出てきて翻訳との関係が興味深い。
 ここでポール=ニューマンの扮する主人公の弁護士は、いつも新聞や広報の死亡欄に載っている訃報を見て、死因が事故など裁判沙汰になりそうなものはないかと探しているのだ。
 これについて「大学では優秀だったが、今では死亡欄を漁っている」と法務関係者から陰口を言われている。勉強はできたけれど、真面目過ぎて世渡りが下手だった。

 この翻訳テロップでは、冒頭でその場面が出てきたとおり「死亡欄漁り」となっているが、原語では「アンビュランス・チェイサー」と言っている。事故があると仕事のネタを探して「救急車を追いかける者」と、主に売れない弁護士を皮肉って言う言葉だ。
 他の場面では「三百代言」と訳している。これは日本でしか通用しない。封建時代に三百語で代わりに弁解する仕事があったから、弁護士を皮肉って言うようになった。

 また、アメリカでしか通用しないであろう言葉が出てきた。やはり堕落した弁護士の意味で、悪い人たちの商売を助ける「バグマン・フォー・ボーイズ・ダウンタウン」と言う。これが翻訳では「汚い政治家の御用聞き」となっているが、「バグマン」は「交渉人」だから解かるけれど「ボーイズ」と「ダウンタウン」は関係が不明確だ。「ボーイズ」は「悪ガキども」みたいなほのめかしだろうが、「ダウンタウン」の「下町」とは何か。
 それで専門の翻訳家に訊いたきら、「商業地域」の意味で「ダウンタウン」と言うから、そうしたスラングだと文脈から考えられるとのこと。

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 これは悪意を持つ裁判官に怒った主人公が、「かつて弁護士をしていたといっても、それはタチの悪い連中の代理人だった」と指摘する場面で出てきた表現である。
 この悪い裁判官にふんしているのはイタリア系の俳優ミーロ=オシーアで、彼は「サッコ・バゼンティ事件」の映画化(邦題では『死刑台のメロディ』)で弁護士にふんしていた。ここでは労働運動の弁護に熱心で反体制を気取っているが、法廷で裁判官をコケにする態度をわざととるなどして見せるけれど弁護で肝心なことに気づかず、これが被告人たちにとって致命的となってしまう。
 この裁判官と弁護士、どちらも今の日本で具体的にこの人がそうだと言える人たちがいる。



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by ruhiginoue | 2019-11-08 05:18 | 司法 | Trackback | Comments(0)