新型肺炎と権勢に媚びる芸能人

　歌手の和田アキ子が、志村けん死去について悲しいことだとしたうえで、これにより新型肺炎は怖いから要注意だと教えられたと言った。
　そして、これを小池百合子都知事も言いたかったのだろうが、しかし「最後の功績」なんて表現をするから批判されたのだと指摘した。また、言葉は難しいが大切であり、ところがこれは自分でも解ることだと述べ、小池知事の発言が御粗末であると暗に結論していた。
　この小池都知事と同じ内容を、維新党の松井代表も発言し、やはり各方面から批判を受けていた。志村氏はそのために死んだわけではないのに、なんてことを言うのか、と。

　おそらく、小池知事と松井代表の発言の背景には、芸人への偏見があるのだろう。「芸」なんてものは社会の役に立たないけれど、芸人は目立つから広報役としてなら何とか存在意義がある。それで、死んだことで事故や病気に対する啓発になるなら結構なことだと考える。
　これを、芸人たちもよく解っていて、劣等コンプレックスを抱えているから、特にテレビに出ている芸人たちは、権勢に媚びて「政府を批判するな」とか「補償を求めるな」とか言い放ち、社会の弱者を見下して優越感に浸ろうとする。

　例えば、いつも政府に媚びていることでも知られるお笑い芸人たちは、立川志らくが落語家なんて無くてよいと言いながら、他にも無くてもよい仕事をしている人がいて、それは社会の優先順位が低いから助けることないと放言し、松本人志は水商売の人たちを税金で助けること無いとホザいた。

　これに対し、怒る人たちがいた。水商売など生活のため仕方なく就いて余裕がない人が非常に多いのは常識なのに、そんなことも知らないのか、と。
　また、自分は幸運にもゆとりがあるから、生活ギリギリの人たちのことを想像できないのだろう、と批判する人たちもいる。
　そうではない。みんな解っていてわざと言っているのだ。自分は芸人であるから社会にとって無くても困らない存在であるが、運よく売れて「勝ち組」になったのだと自慢しているのだ。だから、テレビに出て政権に媚びて社会の弱者を見下して「ざまあみろ」ということだ。

　これに悦ぶ視聴者と、その購買を期待するスポンサーがいるから、トンデモ発言と知りつつテレビ局は放送するのだ。
　こんなのは昔からあったことだけれど、こんなのばかりではなかった。それがこんなのばかりになったので、昔はテレビが好きだった人たちも、テレビが嫌いになったのだ。それにインターネットもある、ということで。