飲食店を経営したが親には秘密

　飲食店を開店したばかりの人が、投資したけれど客は来なくて、テナント料は払わないといけないし、契約解除するなら設備も撤去で金がかかるから、どうしたらいいのかと途方に暮れていた。
　こんな人の話は最近よく聞くが、コロナウイルスのことが無くても、もともと店は経営がうまくいく保証はないし、成功するには相当の投資が必要で、そこを安くして工夫すればと考えて失敗という体験談は、多くの人たちが語っている。

　また、軌道に乗せることには成功しても、その後の情勢によって続けられなくなることがあり、このほうがむしろ多い。

　これを、かなり前から縁あって沢山の目撃をしているのだが、それでも新しい店をはじめた人がいて、その人から教えを受けて、自分も飲食店を経営したことがある。
　そして上手くいったら他に譲渡したが、これは投資して値上がりしたら売ったというのではなく、自分で直接に関与していることが時間などから困難になったことと、まとまった金が必要になったからだ。よくあることである。



　ところが、これを家族には内緒にしていた。だから家族と親しい人たちにも教えなかった。そこから知られてはいけないので。
　なぜなら、父親に集られることを避けるためだった。開業の計画が具体化はしていないが、経験者たちから教わっている当時、うちの父親は開業するべきだと熱心に勧めていた。
　しかし、それが無知丸出しであった。「食べ物はいつの時代も商売になる」なんて言っており、しかし時世の変化で浮き沈みが激しいことなど知らない。
　しかも、開業したら毎日のように友達などを連れてきて、家族がやっているからタダだと言って金を払わずに飲み食い放題をやりたいのが見え見えだった。

　これと同じことを過去にやってもいた。昔うちの母親がセールスレディの仕事をしていた時に、その商品を持ち出して、家族がやっているからタダだと言って、友達らにプレゼントして代金は払わない。勝手に持ち出すなとか原価は払えとか言っても聞く耳を持たなかった。
　なんでか。困るのは自分ではないからだ。それを平気で言い、悪気が無い。それが普通だと思っている。しかし家族だと、その不利益が自分に巡ってくる。そんなことはまるで想像できないから、一家の生活が苦境となる。

　これだから内緒にして当たり前である。
　こんな性格というか性癖の人は他にもいて、それで困ったと嘆く人はいるものだ。それがおそらく政治にも影響とか反映とかしているのだろう。