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by ruhiginoue

八月の狂詩曲

 8月9日、また長崎の暑い日が。
 今年は市長が暴力団に殺されるし、久間大臣の「トンデモ発言」もあった。
 広島の暴力団抗争を描いた「仁義なき闘い」シリーズで、自身の戦争体験から否定する為あえて暴力を剥き出しに描く深作欣二監督は、その行き着つ先はこうだと言うように原爆ドームの映像。
 黒澤明監督の「八月の狂詩曲」は、主人公の老婆が夫を亡くしていることについて、長崎が舞台だからと原爆で死んだことにし、この、原作にはない脚色に、原作者は反発した。
 そして孫たちが原爆の慰霊碑が並ぶのを見て、世界各地から、ソ連やブラジルなどからも送られているのに、「アメリカのが無いね」「当たり前でしょう。原爆を落としたのはアメリカなんだから」 
 原爆の悲劇を描いた映画はたくさんあるが、ここまでストレートなセリフは他に無かった。もちろんアメリカは猛反発。外国人記者クラブで、黒澤明監督は非難された。日本は戦争でひどいことをしまくったのに、歴史教科書とか靖国神社とか、自国のことは正当化したり否定しておいて、他国がやったことは批判するのか、と。
 これは逆にアメリカにも、そっくり当てはまる。自国の非を認めるのは勇気が要るということだ。それに黒澤明監督は、自分の戦争体験から、その指導者たちに厳しい目を向け続けてきた。非難の矛先は、日本でもアメリカでも、どこの国でも、勇気のない人たちに向けるべきだ。勇気のない人とは、アメリカは悪くないと言う人達であり、日本がやられたというだけの人達だ。
 ところで、その後、黒澤明監督に長崎市から感謝状が送られてきた。なんと長崎市にアメリカから慰霊碑が送られてきたそうだ。政治的な言い分とは別の犠牲者の追悼を、しなければならないと考えた市民達がいたからだ。
 政治家が何十年かけても駄目だったのに、映画一本で。クロサワだからということではあるが、よく、文化人で、しょせんは権力という人がいるけど、やはり言い訳だ。

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by ruhiginoue | 2007-08-09 13:41 | 社会