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井上靜に関するblog(網誌)です。下記の著書を読んでもらえたら嬉しく存じます。


by ruhiginoue

医師不足というが

 都内の総合病院が、医者不足で休業する。医師をもっぱら日本大学から派遣を受けていたが、それを停止されてしまったからという。日大としては、自分のところの医師が足りなくなってきたから他所にやれないということらしい。
 ついこの間まで、医者は余っていると言われてきた。そのため、国は養成を抑制するようになり、そのなかで、奨学金を出して養成促進する産業医大と自治医大と防衛医大は、もう役目を終えたとまで言われた。
 それが今さらになって医師不足だというのだから、明らかに政府の失策だ。医師不足は、激務とか収入とか訴訟の問題という俗論があるが、ほとんど意味をなさない議論だ。そもそも、医者になりたくてもならせてもらえなかった人が大勢いたのだから。
 とくに馬鹿げているのは、訴訟が多いからという話。命にかかわる仕事をしていれば、その責任はたいへん重く、なにか間違いがあった場合には訴えられて当たり前である。
 また、裁判は、費用も時間も労力も多く費やされ、それでいて患者敗訴のほうが多く、勝訴できても賠償金は低額が相場だから、慎重にならざるを得ない。当然、訴訟を断念する泣き寝入りの裾野も広がっている。しかも、デタラメな裁判を起こせば罪に問われるし、良く調べもせずいいかげんな訴えをすれば弁護士の責任問題となる。
 つまり、安易に訴訟を起こすことはできない仕組みになっているのだから、それでも訴えられるのは、多くの場合、それ相当のことである。
 なのに、訴訟が多いから、そうなることの比較的多い分野は避けようという医師がいるとしたら、それは専門的な興味や意欲や使命感ではなく、処世術とか自己保身を優先させる者ということで、論外の存在だ。仕事が大変なわりに収入が少ないという愚痴も同様だ。そのような仕事は他にいくらでもあり、それでも貧乏くじひいて頑張っている者はたくさんいる。
 もしも、なにかと大変だからと避けたり辞めたりする医師が多いとしたら、医師になりたくてもなれなかった人が大勢いただけでなく、医者になれた人の中に意欲も使命感も乏しい(でも金は人並み以上に欲しい)者が大勢いるということだから、政府の失策は取り返しがつかない事態を招いたということになる。
 
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by ruhiginoue | 2007-09-29 14:37 | 社会