ウイルスはラテン語で毒の意味だが、日本では英語のヴァイラスではなく独語のビールスのほうが幅を利かせている。今でも患者をクランケと言う医師がいるし、力の勢いはエナジーよりエネルギーと言うほうが一般的だ。
また、権力や暴力のゲバルトを使って内輪揉め内部対立を内ゲバと言うし、働くアルバイトからバイトという言い方が出来たし、食事をイーティングではなくエッセンと昔の学生は言っていた。これは後にあまり言わなくなり、ソーセージの商品名になった。
「ドイツ、ドイツ、と草木もなびく」と山本五十六が困って言う場面が戦記映画『トラ!トラ!トラ!』にあったが、こうした政治的な問題が起きる背景に、日本人がドイツ人と同じ発想をすることがある。
だいたい戦争映画でドイツ軍は、『バルジ大作戦』の戦車や『ブルーマックス』の戦闘機などで勝てると思い込んでいるように描かれている。ハリウッド映画だけでなくソ連の映画で独ソ戦を描いた『モスクワ大攻防戦』『ヨーロッパの解放』でも同じである。
もともと我が国は技術が優れているから優秀な兵器を作れるという変な自信をドイツは持っていて、他に不安材料が色々とあるのに大丈夫だと信じていて、まだ完成していない最新鋭機に期待をかけて、結果は悲惨なことになる。
そんなこと今のドイツにはなさそうだが、日本は昔のドイツと同じで、コロナウイルスに対しても薬が開発される「はず」だから大丈夫な「はず」で日本の技術を信じようと政治家たちが言っている。
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by ruhiginoue
| 2020-05-21 05:14
| 学術